賃貸物件を退去する際、「クロス(壁紙)張り替え代」「ルームクリーニング費」「エアコン清掃代」など、多額の原状回復費用を請求されて戸惑った経験はありませんか?
本記事では、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(※PDFリンクあり)をもとに、経年劣化や通常損耗と故意過失の区別、クロスや設備の耐用年数についてわかりやすく解説します。
正しい知識を持っておくことで、不当な請求に対して「支払わなくてよい」と主張する根拠になります。
原状回復をめぐるトラブルとガイドラインとは
📌 原状回復とは?ガイドラインの基本
国土交通省のガイドラインでは、原状回復の定義を以下のように定めています:
「原状回復」とは、通常の使用によって生じた損耗や経年劣化分を含まない、借主の故意・過失によって生じた損耗・毀損に限って回復するもの。
つまり、「普通に生活していたら劣化する部分」については借主が負担する必要はありません。
🧾 クロス(壁紙)張り替えは退去者が払うのか?
結論から言うと、基本的には払わなくて良いケースが多いです。
- 通常の暮らしでついた「日焼け」「家具跡」など → 貸主負担
- タバコのヤニ・臭い、ペットの引っかき傷など → 借主負担の可能性あり
🗂 耐用年数一覧(ガイドラインより抜粋)
設備・内装 | 耐用年数の目安 | 備考 |
---|---|---|
壁紙(クロス) | 約6年 | 6年経過後はほぼ価値ゼロ(=請求困難) |
床のクッションフロア | 約6年 | 同上 |
カーペット | 約6年 | 汚れが著しい場合は一部負担あり |
エアコン(機器本体) | 約6年 | 故障がなければ基本は貸主負担 |
給湯器 | 約10年 | 通常使用での故障は貸主 |
台所換気扇 | 約6年 | 通常の油汚れ程度は借主負担にならない |
天井や壁の塗装 | 約10年 | 経年での色褪せやくすみは請求不可 |
※上記はあくまで目安。使用状況や契約内容によって異なる場合があります。
📮 退去時に請求されたらどう対応すべきか?
- ガイドラインを提示する
→「国交省ガイドラインでは経年劣化は貸主負担です」と伝えましょう。 - 見積書を確認し、内訳を聞く
→「クロス張替えの理由は?喫煙や汚れの有無は?」など確認。 - 交渉の記録を残す
→「同意しません」「納得できません」など、メールやLINEで残すことが重要。 - 保証金からの相殺額が多すぎる場合は敷金返還請求も可能
📝 まとめ
- 通常使用によるクロスの劣化は借主が負担する必要なし
- クロスの耐用年数は6年。6年経過後の張替え費請求は原則不可
- 請求に納得できなければ「ガイドラインに基づき支払えません」と伝える
- 契約書に「特約」がある場合も、内容によっては無効になることも
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