「妊娠中に脚が痛いのはよくあること」と思っていたあの頃。
まさか自分が両側の一過性大腿骨頭萎縮症という、医師も「珍しい」と話す病気を経験するなんて思いもしませんでした。
この記事では、私が妊娠中に発症したこの疾患について、時系列に沿ってリアルな体験を記録しています。
同じような悩みを抱える方に届くように、そして少しでも参考になれば幸いです。
妊娠初期〜中期(妊娠11週〜26週):順調そのもの
2022年7月、妊娠11週2日で初回健診を受けました。
分娩予定日は2023年2月(妊娠37週6日)と伝えられ、経過はとても順調。
妊娠26週ごろ(10月末)には県外に旅行へ行けるほど、体調も良く、生活に支障はまったくありませんでした。
妊娠29週〜30週:じわじわと始まる股関節の痛み
妊娠29週(11月末)頃から、右脚の付け根あたりに違和感を感じ始めました。
「これがいわゆる妊娠中の腰痛かな」と思っていたのですが、日が経つごとに痛みは増し、妊娠30週頃には歩行がつらくなってきました。
整形外科を受診したものの、妊婦ということもありレントゲンやMRIなどの画像検査ができず、「妊娠による骨盤の影響でしょう」とのこと。
はっきりとした原因がわからないまま、不安ばかりが増していきました。
妊娠31〜32週:階段が登れないほどの激痛
自宅はエレベーターのない2階のアパート。妊娠31週を過ぎる頃には、自力で階段を上がることができなくなりました。
夫に支えられて何とか生活を続けるも、トイレやお風呂に行くことすら困難になってしまい、夫の実家に避難することに。
しかし、状況は改善せず、妊娠33週(12月末)に産婦人科へ相談し入院となりました。
妊娠34週:原因がわかるまでの不安と、やっとの診断
産婦人科でも原因がはっきりせず、年明けすぐ、妊娠34週頃に市の大きな総合病院へ救急搬送されました。
ここでやっとMRI検査ができ、「両側の一過性大腿骨頭萎縮症」と診断されました。
この病気は、骨頭に一時的な栄養障害が起こり、骨がスカスカになってしまう疾患で、通常は片側で起こることが多い中、私は両側同時に発症。
医師も「両側同時はかなり珍しい」と驚いていました。
加えて、痛みによる力みの影響で切迫早産のリスクもあり、点滴とベッド上での安静が続きました。
そのときの気持ち:とにかく「痛み」と「不安」
とにかく、どんな姿勢でも痛い。寝返りもできず、トイレに行くのも一苦労。
「このまま出産まで歩けなくなるのでは…?」という不安と恐怖でいっぱいでした。
でも、転院先の病院では、原因がはっきりしたことと、重症患者に慣れたスタッフの丁寧なケアで心も体も少しずつ安心できるように。
(小話ですが…)
産婦人科の入院食がとても豪華だったぶん、総合病院のご飯はちょっと質素。でも、夫がジャンクフードや焼き芋を差し入れてくれていたのが何よりの楽しみでした。
妊娠37週:自然分娩か帝王切開か
状態が安定してきた妊娠37週。
主治医から「自然分娩に挑戦してみる?何かあればすぐに帝王切開に切り替えるよ」と提案されました。
第2子のことも考えて、できれば自然分娩を選びたいと思い、自然分娩にチャレンジすることに。
そしてついに破水。
正味30分というスピード出産となり、連絡を受けた夫も間に合わないほどの速さで、無事に第1子を出産しました。
産後:両手で杖を使ってのリハビリ開始
出産後もすぐには歩けず、リハビリのため引き続き入院。
約2週間、リハビリを受けながら両手に杖をついて歩く生活を送りました。
夫は育休を14日間取得してくれ、また義両親のサポートもあり、退院後は徐々に一人で歩けるまでに回復。
数回の定期受診を経て、骨頭の萎縮もなくなり「完治」と診断されました。
主治医やリハビリの先生も、「両側同時は私たちも初めて」とおっしゃっていましたが、本当にたくさんの方の支えがあり、無事に乗り越えることができました。
最後に:妊娠中の「異変」は、無理せず相談を
妊娠中の不調は「よくあること」として片付けられがちですが、いつもと違う痛みや違和感は放置しないでください。
特に私のようにレアな疾患だった場合、診断が遅れると日常生活すら送れなくなる可能性があります。
産後も育児と並行して体の回復が必要だった日々は本当に大変でしたが、無理をしすぎず、周囲に頼ることの大切さも学びました。
この記事が、どこかで同じような痛みに悩んでいる妊婦さんやご家族の参考になれば嬉しいです。
コメント